コロナ渦を経て、行動変容や意識の変化は大きく変化したのではないでしょうか?特に手洗いなどの衛生意識の向上はコロナ渦から得たプラスの影響といえます。また冬の季節になると、風邪やインフルエンザやノロウイルスの食中毒の流行期に入り、テレビなどでも「こまめに手洗いとうがいをしましょう。」と伝えられ、小さなこどもがいる家庭は一緒に手洗い・うがいをしたり、受験生がいる家庭は、全員が気を使いこまめに手洗い・うがいをされていると思います。
家事代行サービスはご自宅に伺い、掃除や料理を行うからこそ、手指衛生の知識・手洗いの基本を習得しておく必要があります。
正しい手洗いの方法は知っているか?手に傷はないか?火傷はないか?荒れてひび割れていないか?など手を介して起こる食中毒は多くあります。
手の傷や火傷、ひび割れを介して起こる食中毒の代表的なのが「黄色ブドウ球菌」です。黄色ブドウ球菌自体は、常在菌(人や動物の皮膚、鼻腔内に存在する菌)として存在しており、人や動物の傷口にも存在しています。特に化膿している場合は通常よりも多くの黄色ブドウ球菌が存在しています。黄色ブドウ球菌が食品に移り、繁殖して毒素「エンテロトキシン」を作り出し、食後30分から6時間程度で発症すると激しい吐き気やおう吐、下痢、腹痛を引き起こします。この毒素は熱・乾燥・胃酸・消化酵素に強く100℃で20~30分加熱しても無毒化されません。
今回は、手指衛生とは?手指衛生と家事の関連性について、お話したいと思います。

そもそも手指衛生とは?
そもそも手指衛生とはなんでしょう?言葉通りで手と指を衛生に保つことです。そして、手と指を衛生に保つ方法として「手洗い」と「手指消毒」があります。「手洗い」は目的によって「日常的手洗い」「衛生的手洗い」「手術時手洗い」の3つに分けられます。「手指消毒」はアルコールや消毒液を使用して、爪や皮膚の表面につく通過菌と呼ばれる菌を殺菌します。
「日常的手洗い」は食事の前や排便排尿後などの家庭や社会生活において行われる手洗いです。一般的に石鹸と水道水、または水道水のみにて行われています。
「衛生的手洗い」は手指に付着する通過菌を極力除去するための手洗いです。主に医療機関や医療従事者や高齢者施設、食品を扱う施設(工場、給食施設、飲食店)の方が行う手洗い方法です。石鹸や洗浄剤(抗菌性石鹸など)と水道水でよく洗い、ペーパータオル等で水気をふき取り、アルコール手指消毒薬にて行われています。正しい手洗いマニュアルが関連省庁、市町村の保健所、関連団体などが作成しています。
「手術時手洗い」は手術前に行われる最も水準の高い手洗いであり、通常菌の除去と皮膚常在菌の減少を目的として手術前に医療従事者が行う手洗い方法です。こちらも手洗いマニュアルがあり、医療機関、製薬会社などがマニュアルを作成しています。
「手指消毒」はアルコール性の消毒液と次亜塩素酸水があります。
ほとんどはアルコールタイプの消毒液です。速乾性があり、手がべたつくこともありません。使用方法も手のひらに適量アルコールの消毒液を取り、手全体にまんべんなく擦りこみます。特に指先や爪の間、手の甲や手首までしっかり行うことが大切です。乾燥するまでは、ほかのものに触れないようにしましょう。次亜塩素酸水はノロウイルス、ロタウイルスや火器周りの消毒、アルコール過敏症の方などに適しています。
手指衛生と家事の関連
食品衛生はよく「手洗いに始まり、手洗いに終わる」と言われるほど、食中毒の予防はまず手洗いからと言われています。
料理代行をしていると調理器具(包丁、まな板など)を何回も使用、洗いの作業が入ります。洗いが不十分だったり、生肉、生魚を使った後に生野菜と切ると、調理器具を介してに食中毒菌が付着して、菌が増えて食中毒の危険が増してしまいます。生肉、生魚専用の調理器具と生野菜、果物用の調理器具を分けると食中毒の危険性は下がります。調理器具を分けるのが難しいようであれば、生肉、生魚のカットは一番最後に行い、料理すると危険性は下がります。調理後は使用した調理器具をよく洗い、殺菌消毒し、手洗いはその都度しっかり行いましょう。
素手でお肉を触る行為はお勧めしません。生肉に付着している菌が、手指や調理器具等を介して、ほかの食品に移りそれを食べることによって食中毒になってしまいます。ビニール製の手袋を使用し、直接、食材と手が触れない様にしましょう。使用後は手袋を裏返しにしてそのままゴミ袋に捨ててしまえば、生肉に触れることがありません。手袋も作業毎に取り換えて、衛生的に料理を進めましょう。
気温や湿度が高くなると、食中毒の危険性は高まります。朝の忙しい中でお弁当を持っていく場合は、時間が経った料理を食べるため、より注意が必要となります。料理後もいろんなものを触ると手指が汚れてしまいます。お弁当箱におかずを詰めるときは、素手で詰めず、菜箸や手袋を使用しましょう。また、ご飯やおかずを温かい状態でお弁当箱に詰めてフタをすると蒸気がこもってお弁当内の湿度が高くなり、食中毒菌が増殖しやすくなります。ご飯やおかずを詰めた後は冷蔵庫に入れてしっかり冷やしてからフタをしましょう。さらに日中も低温を保つことができれば、食中毒の危険性はさらに下がります。保冷剤を使用しお弁当箱を冷やされている方も多いのではないでしょうか。
まとめ
家事代行サービスはご自宅の様々なものに触れます。掃除機、床、トイレ、お風呂、普段掃除ができない箇所など様々な場所を掃除します。ほこりには、ダニや細菌、カビ、アレルギー物質、衣服の繊維、皮膚の角質、食べ物のカス、動物の毛、花粉が含まれています。ほこりを触った手指の手洗いが不十分な状態で料理すると、ほこりの残りが食品に付着し、その食材を食べることになります。呼吸器系、心疾患、免疫系の疾患、アレルギーの原因の可能性にもなり得ます。
手指衛生は目に見えないもの(菌)を落とし、殺菌して、衛生的に作業するために不可欠な重要な作業です。衛生意識向上は一長一短ではなかなか身につくことが難しいです。
病院・高齢者施設・食品を扱う施設などでは、定期的に手指衛生の重要性や衛生意識の向上、正しい手洗いの順守の為の啓発活動を行っているほど、重要度が高い項目です。個々の衛生意識向上や正しい手指衛生の習慣化が難しい項目でもあります。
ながさき管理栄養士事務所は、管理栄養士として病院に9年間、給食委託会社に9年間の在職中、手指衛生の講義・講習を受けて、実施している経験がございございます。安心・安全の家事代行はお任せください。
健康な毎日を過ごすには、おいしい食事から始まります。おいしい食事を作るには、まずは手指衛生から始めてみてはいかがでしょうか🌝

