みなさんは1日に何グラムの食塩を摂られているかご存じでしょうか?
みそ、しょうゆ、コンソメ、漬物、カップ麺など調味料から塩蔵品、加工食品までありとあらゆる商品に食塩が使用されています。
毎日の食卓に欠かせない調味料の1つが「食塩」ですが、食塩と健康は密接な関係があり、長期間の摂りすぎは健康に影響を及ぼします。代表的なのが「高血圧症」です。
「私たちの食塩摂取の現状」「なぜ、食塩を摂りすぎると高血圧症になるのか?」「外食は塩分多め?」「減塩食の料理の工夫」など。
今や私たちの生活に欠かせることができない「食塩と健康]についてのお話です。
私たちの食塩摂取の現状
私たちの食塩摂取の現状など国民生活の向上を目的として、いろいろとを調べてくれている省庁が厚生労働省です。厚生労働省より、令和5年(2023年)の「国民健康・栄養調査」の結果概要から、平均食塩摂取量は9.8gとなり、男性10.7g、女性は9.1gという結果で、この10年で有意な増減は見られませんでした。食塩の過剰摂取は高血圧症や心疾患の原因となるため注意が必要とされ、この結果を踏まえて、健康日本21(三次)の目標は、食塩摂取量を7gに設定されています。
現在、健康上の不安がない方は響く内容ではなく、年齢を重ねていく中で、健康上の不安をお持ちの方、将来、健康で生き生きした生活を送りたい方には気になる項目ではないでしょうか。
数日、塩分の多い食事を摂ったから、すぐに高血圧症になるわけではありません。何年、人によっては何十年の食生活習慣が蓄積して、生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症など)を発症する原因に寄与しています。健康日本21(三次)の食塩摂取量7gの目標は、高血圧症を予防することを主な目的として定められています。

なぜ、食塩を摂り続けると高血圧になるのか?
様々な原因(食塩の摂りすぎ、加齢、運動、寒さ、急激な寒暖差、過度なアルコール摂取、遺伝による体質、肥満、病気など)で高血圧症になるとされています。
食塩を摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度が上昇し、体が自身の浸透圧のバランスを均一に保とうと、水分を欲するようになります。余分な食塩と水分を摂れば、体積(血液)が増えます。心臓や血管には一定の容量がある為、その中の血液量を送り出すため心臓がより大きな力で送り出すため、血管を押し広げて、血圧も上がってしまいます。
また、食塩の中のナトリウムは、血管を収縮させる働きを行い、交感神経を緊張させる作用があります。必要以上のナトリウムを摂り続けると血管を縮める働きが活発になってしまい、細くなった血管に血液を今まで通り送るとなると更に血圧が高くなってしまいます。その期間が長引くと、心臓と血管にストレスがかかり続け、心筋梗塞、脳卒中の引き金となってしまいます。
外食は塩分多め?
外食は塩分が多めと聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
飲食店のメニュー表を見ると、栄養成分表示(カロリー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量)されている飲食店があります。食べるものにもよりますが、ラーメンだと平均6.0g、牛丼(並盛)・味噌汁付は平均4.5g、定食は5.5g前後と「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の男性7.5g未満、女性6.5g未満の基準に照らし合わせると、外食をすると1日の1/2以上の食塩を摂っています。
外食で塩分が多い理由は、「味付けの濃い方が好まれる」の一言に尽きます。外食で味気ないと次回も利用してもらえなくなり、お店も困ってしまいます。また、私たちにの舌は、「味蕾(みらい)」という、味を感じるセンサーがあり味蕾で五味(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味)を感じて、神経に信号が脳に送ら、脳が美味しいと感じています。加齢とともにこの味蕾の減少・能力の低下、心理的要因(ストレス、緊張、不安)などにより、以前より濃い味付けをしないと、センサーに反応しなくなってしまいます。

減塩食の料理の工夫
いきなり減塩食にチャレンジしようとしても、薄味はなんだか美味しくないし物足りなさを感じてしまうのではないでしょうか。そんな不安をお持ちの方でも出来ることから始めて、長く続けていくことを習慣づければ薄味に慣れていきます。減塩のコツをまとめましたので、出来ることから始めましょう。
・旨味、コクの活用
昆布、鰹節、きのこ類、乾物、乳製品などをうまみを含んだ食材やそれから溶け出しただしを上手に使いましょう。
・酸味を取り入れる
トマト、酢、かんきつ果汁など酸味を加えるとすっぱさがアクセントになります。
・香辛料や香味野菜を足す
わさび、しょうが、しそ、パセリ、三つ葉、カレー粉など香りのよい素材を使うとその香味が効いて薄味が気にならなくなります。新しょうがやしそなど旬な食材を和え物に取り入れるとさっぱりしていて塩味が少なくても美味しく頂けます。
・上手に油を使う
ごま油、オリーブ油、えごま油など煮物や汁物、和え物の仕上げにごま油を1滴たらすとこくとうまみが加わり、薄味でも気にならなくなります。
・香ばしい焦げ目を活用
焼く・揚げるなどしてついた焦げの風味は、香ばしさをプラスしておいしく食べられます。
・食材の表面に味を付ける
同じ量の塩分を使っても素材の表面に味をからめて食べる方が、しみこませるより塩味をはっきりと感じます。
・塩分は1皿だけに集中する
薄味の料理が2~3品あるより、しっかり味のついた料理を1品持ってきて、他の物は薄味つけにした方が献立にメリハリが出て満足感が得られます。
・食事は適温で食べる
熱い料理は熱いうちに、冷たい料理は冷たいうちに食べると、塩分が少なくてもおいしく食べられます。
・加工食品を控える
加工食品には、保存性、おいしさに重点を置いているため、食塩が多く使用されています。食べる量や頻度を控えるなど工夫しましょう
・汁もの(味噌汁など)は1日1杯、汁は1/2量、麺類の汁は飲まない。
汁ものは1日1杯にしましょう。、汁は1/2量にして、だし汁で薄めるか具だくさんにしましょう。
麺類の汁を飲み干す方もいらっしゃると思いますが、高血圧症の方、減塩をされている方は汁は極力残して頂きたいです。
私も病院や委託先の厨房で減塩食を作っていましたが、汁の量は半分にして、ダシ汁を加える。肉料理に使用する食塩は極力使用しない、煮魚の煮汁を取り除く、加工食品ではなく手作りの料理を提供していました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
食塩は私たちの健康と密接な関係があり、私たちに良い影響も悪い影響ももたらしてくれます。料理の効果(味付け、食材の水分を抜く、形や見栄えの保持)や料理以外の効果(医療現場、凍結予防、工業用)など様々な利用方法があり、私たちの生活を支えてくれています。
私たちは食塩の摂取量が多いと言う認識を持って頂き、未来の自分の為に今から少し塩分を減らしてみる生活をしてみてはいかがでしょうか。ただ、何でも減塩=健康になれるという考えは注意が必要です。「ほどほど」を心掛けて、「やりすぎ」や「頑張りすぎ」ない様にしましょう。
最初から減塩に頑張りすぎると食事の楽しみが減ってしまし、逆にストレスを感じてしまう方も多いです。
長い期間をかけて減塩生活に身体を慣らしていきましょう!
